こんにちは。今回はフレイルについて、後編です。

前回、フレイルとは、簡単に言うと「加齢で心身が衰えた状態」であるとお話ししました。
これはかなり簡単にお話ししており、本当はかなり複雑な問題です。
対策を考えるために、もう少し突っ込んでお話しします。

フレイルには大きく分けて3つのフレイルがある

①身体的フレイル    ②心理的フレイル    ③社会的フレイル

フレイルという言葉が世に出始めた頃は、身体的な問題を意味することが多かったのですが、現在は上のように、大きく分けて3つのフレイルがあります。そして、それらは密接にかかわりあって、悪影響を及ぼしながら徐々に悪化していくと考えられます。ややこしいのですが、下の図にまとめてみました。

実際何がどう関係しているのか難しいですが、問題点が沢山あることはわかっていただけるかもしれません。
それぞれの因子が複雑に関連しあって、衰えがさらなる衰えを呼ぶ悪循環になってしまいます。

全国的にはいったん落ち着いて来ている新型コロナウィルスの流行ですが、これによって身体的な問題だけでなく、社会的・心理的フレイルも悪化していくリスクがあります。

・外に出たくない、今までしていた運動・ジムをやめた → 身体的フレイル悪化
・ウィルスがうつるかもしれないから人としゃべらない、関わらない → 社会的フレイル悪化
・ウィルスが心配、感染しないか心配で落ち込む → 心理的フレイル悪化

では、どうやって、フレイルの予防をしたらいいでしょうか。

新型コロナウィルス流行下における、フレイルの予防!

①まずは運動(これについては運動についての項をご参照ください)

②栄養をしっかり取る
野菜もタンパク質もしっかりとるバランスの良い食事を心がけましょう(以前お話ししたように塩分には気を付けていただくのですが、食欲をそぐほど頑張っては逆効果になる可能性があります)。
炭水化物・脂質だけではなく、魚や赤身のお肉などしっかりタンパク質をとって運動しないと、筋肉はなかなか増えません。
またしっかりご飯が食べられるように、口腔環境も整えましょう。

③持病の悪化を防ぐ
病気がフレイルの進行を急激にしてしまう大きな要因であることが多いので、そもそも病気にならないため持病の悪化を防ぎましょう。薬が必要な方、持病の評価が必要な方は医療機関にかかりましょう。感染が心配な方もいらっしゃると思いますが、医療機関は当院も含め、感染症対策に力を注いでいます。それでも心配な方は、一度電話でもいいのでご相談ください。

④活動しましょう
家に一人でこもることは、ウィルスに関してはかなり強い防御手段ですが、心の健康には良くありません。しっかり・こまめに手を洗い、ソーシャルディスタンスをとり、少しずつ、好きなこと・できることから活動を始めましょう。厚生労働省から提案されています『新しい生活様式』を参考に、社会経済と皆さんの健康のため、そろそろ外に出る事が必要です。
また、「外に出ない」活動もあります。
電話で誰かと話すこと、インターネットで興味のあることを調べること、このようなホームページを読んでいただくことも、前向きな活動だと思います。

⑤でも、やっぱりコロナウィルス含め感染症には重々注意を
全国的にはコロナウィルスは減少しています。ですが、このまま終息していくとは考えにくいです。
油断はできません。地域での流行の状況をみながら、対策と活動のバランスをとって、生活していきましょう。

ごあいさつ

新型コロナウィルスの流行に伴って始めさせていただいたこの『かわら版』も、世間の社会活動再開に伴っていったん終了したいと思います。集団心臓リハビリの再開にはまだしばらくかかりそうですが、個別心臓リハビリから徐々に再開しています。皆様の健康のため、この『かわら版』が少しでも参考になれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。

青木内科 青木聡一郎