こんにちは。
緊急事態宣言の解除によって、徐々に活動量も増えていると思いますが、まだまだ宣言前と同じように生活するのは難しいと思います。ウィルスがいなくなるわけではありませんから、『予防』を心がけた生活が大事です。

さて、患者様が医療機関にかかる理由は様々ですが、体の不調がある場合など、不利益を実感している場合の検査・治療の目的が多いのではないかと思います。
病院で受けるのは治療というイメージが多いと思いますが、本当は『予防』が最も大事です。そもそも体の調子が悪くならないようにして、医療機関にかからなくてよいようにすることが、一番良いのです。

そこで、本日は「フレイル」についてお話しします。
「フレイル」とは簡単に言うと、『加齢による心身の衰え』の事です。

新聞やメディアなどでも取り上げられる事が増えてきたため、いろんな意味で使われたりすることがありますが、もともとはFrailty(虚弱)という英語から生まれた言葉です。

予防という意味では、とても重要な「フレイル」なのですが、どういう事で、どうして大事なのでしょうか。

フレイルとは加齢による心身の衰え・・・でも後戻りできる段階!


上の図をご覧ください。これは日本における2016年の厚生労働省の統計で、健康に生きられる期間(健康寿命)と実際生存した期間(平均寿命)を表しています。日本の平均寿命は世界でトップレベルです。
ですが・・・『健康寿命と実際の寿命は隔たりが大きい』ことにショックを受けます。

では、健康寿命と実際の寿命の間の約10年間どういう状態なのかといいますと、要支援→要介護状態を経て、徐々に寝たきりに至っていくことがあります。要介護の状態になってしまうと、なかなか元に戻そうと思っても難しいです。
では、要介護状態になる前の段階で、そこに至らないようにするにはどうしたらいいかを考えます。
そこで、その要介護状態の前の段階に名前を付けて、敵を明確にするところから対策を練ることにしました。

そういう経緯で生まれたのが「フレイル」という言葉です。
要介護状態になる一歩手前の状態といわれていますが、その段階なら健康な状態に比較的戻りやすいと考えられています。

フレイルかどうか?簡単チェック!

要介護状態を予防するためには、
自分が「フレイル」という状態かどうかにいかに早く気が付くかどうかが大事です。

「フレイル」の診断には以下のような基準があります。

J-CHS基準

 □ 体重減少 半年間で2-3kgの体重減少
 □ 筋力低下 握力 男性 < 26kg、 女性 < 18kg
 □ 疲労感 (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
 □ 歩行速度 通常歩行速度 < 1.0m/秒
 □ 身体活動 「軽い運動・体操をしている」、
___________「定期的に運動・スポーツをしている」の2つともあてはまらない_____
この上の5項目のうち
・1-2項目当てはまる場合 → プレフレイル(フレイルの手前)
・3項目以上 → フレイル

世界各国で様々な基準がありますが、この基準が日本の代表的な基準です。
この「フレイル」を早めに診断することで、早めに介入し、介護状態を「予防」することが重要です!

長くなってしまうため、後編に続きます。

次回は、フレイルのもう少し詳しい説明と、その予防方法などをお話しします。

                                  青木内科 青木聡一郎