こんにちは。理学療法士の後藤です。
前回に引き続き自宅でできる運動、筋トレについてです。

前回も20歳ごろをピークに徐々に筋肉量が減少するというお話をしました。
残念ながらそれは紛れもない事実です。白髪が増える、シワが増えると同様に、年をとるにつれて筋肉は痩せてしまいます。だからと言って筋トレなんて意味がないという訳ではありません。
筋線維は減ってしまいますが1本1本は強くすることが出来、また眠ってしまっている筋肉は運動により起こすことが出来るのです。昨今の自粛生活で筋肉が衰えるスピードは速くなっています。今日から、今からでも始めましょう!

足の筋力は何より大事!

心臓リハビリに通われている患者様には常々お話していますが・・・
心臓を良くすることも大切ですがそれ以上に下肢の筋力をつけることが大切です。心不全の患者さんの運動能力(最高酸素摂取量)と密接に関係するのは、心臓の強さよりも、骨格筋(手足の筋肉)の筋力・筋肉量だと言われています。
筋肉はエネルギーの貯蔵庫で、血糖値の調整を行う働きもあり、筋肉が減少してしまうと糖尿病のリスクも高まります。また免疫機能も低下してしまい、肺炎などのリスクも高くなってしまいます。

★厚生労働省研究班の報告(2015年2月)では筋肉量の少ない高齢の男性は、多い男性に比べて死亡率が2倍になるとの調査結果も出ています。筋力がないとダメという訳ではありませんがどうやら『ない』よりは『ある』ほうが良さそうです。

まずは自宅でできる筋力測定

簡単に下肢筋力を測定する方法として『30秒間立ち上がりテスト』というものがあります。

「40cmの椅子に腰かけ、両手を胸の前で組んで30秒の間に何度立ち座りが出来るか」というテストです。

60代男性では20~25回、60代女性では19~23回ぐらいが『ふつう』のレベルとなります。

老人保健施設ハートで60歳以上の方を対象とした健康教室を催しており、その中で体力測定も行っておりますので興味があればご参加ください。
もう少し簡単にという場合には『片足での立ち上がり』があります。先ほどと同じ40cmの椅子に座り、胸の前で手を組み、片方の足を前に伸ばします、反動をつけずに片足で立ち上がってみます・・・上手く立ち上がれない方は下肢の筋力低下が始まっているのかもしれません。

では、やってみましょう!

家でも出来る簡単な運動として【スクワット】をお勧めします。
スクワットぐらい知っているとお思いの方も多いと思いますが正しく行うと結構きついので是非行ってみて下さい。

【方法】
① 肩はば程度に足を開き、膝頭とつま先が真っ直ぐ前を向くようにします
② 膝を曲げゆっくり(1.2.3.4.5とカウントしながら)お尻を下ろしていきます
 この時、つま先より膝が前に出ないようにしてください。
③ 太腿と床が平行になるところまで下し少しその状態をキープします④ ゆっくりと(1.2.3.4.5とカウントしながら)元の姿勢に戻ります

回数は10回程度で十分ですがご自身の筋力に合わせて行ってください。初めのうちは何かに掴まって行うといいかもしれません。スクワットで鍛えられる大腿四頭筋の他にも大殿筋(お尻の筋肉)、腹筋群、背筋群、下腿三頭筋など大きな筋肉を鍛えることが大切です。

これらは、姿勢筋・抗重力筋といわれ、歩いたり、姿勢を維持する際に働き、動作をする上で非常に大事な筋肉です。

すべての筋肉のトレーニング方法をここで紹介する事は出来ませんが、最近ではYouTubeなどでも筋トレ方法を知ることが出来ますし、トレーニング関係の書籍も多数出版されています。やらされている運動では長続きしませんのでご自身の興味をもったものから初めてみてはいかがでしょうか?
もちろん当院でも心臓リハビリ患者様に筋力トレーニング指導行っております。要支援・要介護の方は老人保健施設ハートのデイケアで理学療法士が筋トレ指導しておりますのでよろしければご相談ください。

しっかり運動して健康寿命を延ばしましょう!!

青木内科 理学療法士 後藤正典