こんにちは。
新型コロナウィルスの感染予防のためにマスクをされている方が多いと思います。
ですが、マスクが感染の盲点になってしまうことがあります。
手をしっかり洗ったり、顔を触らないように心がけていても、手を洗う前にマスクを触って位置を動かしたりしていないでしょうか。
不潔な手(手を洗っていない状態)でマスクを何度か触ると、結局そこから顔にウィルスがついてしまう可能性があります。マスクを何度も触らないように気を付けましょう。

さて、今日は高血圧の生活習慣改善のための最も大事な一つ、減塩についてお話させていただきます。

『1日6g』が目標

減塩は高血圧の対策としてだけでなく、心臓疾患や腎臓疾患を減らす効果、それ以外にも腎臓結石・骨粗しょう症・胃がんの発生率を減らす効果など様々な効果があります。
じゃあ塩をまったく取らなければこれらの病気にならずに健康でいられる。と思う方もいるかもしれませんが、塩は人間を含めた動物にとって生きるために必要な栄養素の一つです。
塩をとることにより人間は血圧を維持しているので、塩が不足して血圧が上がらないという事は、血が全身を回らず倒れてしまう事になります。
人類が歴史の中で塩分を必要以上に取ってきたことが、現代の生活習慣病につながっています。日本人の現在の塩分摂取量は1日約10gと言われておりますが、高血圧患者さんにおける、減塩目標は1日6gです。

減塩には「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」!

塩分摂取量は人それぞれで、作戦も千差万別です。その中でみんなに共通する戦略は「自分の塩分摂取量を把握する」ことです。医療機関に受診していただければ、尿をとることで、推定塩分摂取量を測定することが出来ます。
ですが、現在受診するのも難しい状況ですので、まずは自分の食事の塩分量を計算し、見直してみることから始めましょう。
ご自分で料理される場合、ある程度の塩分量は計算できます。市販の塩分計などで測定するのも一つです。
市販品や加工食品については、食品相当量の表示が義務付けられています。パッケージの裏の『栄養成分表示』を見ましょう。
食パンなどのパンや、麺類・かまぼこやソーセージなどにも食塩がしっかり使われています。加工食品は塩分量が多いことが多いですが、栄養成分表示をしっかりチェックしましょう。
無塩パン、無塩うどんなどを選ぶのも一つです。

1日の塩分量を計算してみて、6gより多い方は、味付け方法を変えたり、パン食を白米に変えたり、塩分の多いおかずを少ないものに変更してみたり、少しずつ減らす努力をしていきましょう。
(思ったより塩分をとっていなかった方は、下に書きましたそのほかの注意点を参照してみてください。)

まずは減塩食品・減塩調味料を利用するのが良いかもしれません。最近はおいしい減塩食品が増えています。日本高血圧学会のホームページに減塩食品リストが公開されています。食品購入時の参考としてください。
ただし、減塩食品は味の調整のため、塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを使用している場合があります。腎臓疾患があり、カリウム制限をされている場合は減塩食品の摂取にはご注意ください。

日本高血圧学会 減塩サイト 「さあ 減塩!」→ https://www.jpnsh.jp/general_salt.html

 

減塩はできる範囲で少しずつ

「敵に塩を送る」と言うことばがあります。
戦国時代、塩不足で困っていた武田信玄に、上杉謙信が塩を送ったという故事からきています。この故事の真偽はさておき、当時食品の保存のために塩が必要でした。冷蔵庫もない時代、塩は調味料としてだけでなく、生きるために必要だったのです。私たちが必要以上に塩をとってしまうようになったのは、こういった事情があったのかもしれません。

さて、現在自粛生活をしていると、どうしても保存食・加工食品に頼らざるを得ません。
やむを得ない事情で、塩分をとりすぎてしまうリスクを、武田信玄の時代と同じように抱えているようなものです。努力だけでは難しい事が多いのですが、そんな中でもどの食品にどれだけの塩分が入っているかチェックして、意識して塩分を減らしてみてください。

日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインで推奨されている生活習慣の見直しの項目は次の通りです。
1.食塩摂取は1日6gにへらす
2.食事に気を付ける (野菜・果物の積極的摂取など)
3.適正な体重の維持する
4.運動する
5.お酒を控える
6.禁煙する
7.その他(寒さ、ストレス、睡眠障害などを改善するなど)

減塩以外にも気を付けることはたくさんあります。ご参考にしてください。
青木内科 青木 聡一郎